そして春
北の大地の冬はあっという間で、11月にチラホラと雪が振り始めたと思っていたら12月はあるタイミングを境にあたり一面すべてが雪の中に。1月2月はマイナス10度を下回るのが当たり前の毎日、そして3月の終わりになるとそれまでの氷点下の暮らしが嘘のようにぐんぐんと気温が上がる。4月を終えようとしている中、町中で見かける雪は除雪した雪をためておいた広場の泥混じりの雪の山だけに。
氷点下の世界での生き方も少しづつわかってきて、寒さには慣れたつもりでも、この春から夏にまっしぐらに進んでいく毎日に期待しすぎて薄着で過ごしてしまう今の時期が一番寒さを体感している気がする。
もうすぐこの地に移ってから一年が過ぎる。とても早いもので、そして早い中でもとても濃厚な毎日を送ることができた。春の終わりから秋にかけてのキャンプ、冬は雪の中でスキーにスノボ、そして仕事場の建物のリノベーションなど。ここにいるからこそできることは片っ端から手を出している感じで、仕事の合間も常に何かをやっている毎日。
この一年の間にも出張で都内に行ったり、地方でも大きめの都市に行く機会も何度かあったものの、それまでの都会ぐらしに慣れていた自分がまるで別人だったかのように、そこにいる自分の違和感はとてつもなく大きかった。きれいに並んだ建物、そこら中に光り輝く看板、サインの洪水。そしてあっちからもこっちからも湧いてくる人の波、アスファルトとコンクリートのかたまり。たった一年でこうも価値観が変わり、自分にとっての心地よさのあり方を認識するようになるものかととても不思議な気持ちになる。
そうこう振り返っている間に2022年ももうすぐ折り返し地点に。今年は新たにチャレンジしたいこと、そして昔夢中になっていたことに再挑戦したり、更に自分の時間を絞り出していまここでできることに集中できる時間を作りたい。